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写真 宮島利宏
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 水圏・大気・地圏の境界領域としての海洋生態系の機能と構造を研究しています。
 現在は主にサンゴ礁・海草藻場・マングローブ等の浅海域生態系を対象として、外洋域や陸域、大気圏との相互作用と地球環境変動影響の研究、堆積物における炭素隔離機能の解明、安定同位体技術による物質循環研究手法の開発を行っています。
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ラボワーク
▶ 安定同位体比分析
 元素分析計-同位体比質量分析計(EA/IRMS)を用いて固体試料の炭素・窒素自然安定同位体比の測定を日常業務として行っています。共同利用研究施設に指定されており、所内のユーザーや外来研究員による共同利用の技術支援も行います。化合物別同位体比分析(アミノ酸、脂肪酸、無機ガス等)、硫黄安定同位体比の分析、熱分解型元素分析計を利用した酸素・水素の自然安定同位体比の測定(溶存リン酸など)、CRDS 法による水の酸素・水素自然安定同位体比分析も実施可能です。
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▶ 堆積物分析
 堆積物の有機地球化学・微生物生態学は個人的に長年継続しているコアな研究分野です。深海堆積物から湿地帯の湛水土壌まで、また各種の物性・成分分析から微生物学的代謝計測、培養実験まで、多様な研究のニーズに対応可能です。炭素・窒素・硫黄含量・安定同位体比分析、GC/MS による有機地球化学分析(アミノ酸・糖・脂肪酸など)、ガス吸着法による比表面積・細孔分布解析、間隙水の栄養塩分析、炭酸塩分析などが実施できます。
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▶ 各種水質分析
 オートアナライザーによる栄養塩分析、溶存有機窒素・リンの分析、蛍光法によるクロロフィル分析等を実施可能です。オートアナライザーとクロロフィル計は共同利用対象機器です。手作業による栄養塩分析の技術も有します。イオンクロマトグラフ、アルカリ度定量用滴定装置、pHメーター、水同位体比アナライザー等も水質分析用に使用できます。イオンクロマトグラフは堆積物中の炭酸塩濃度の定量に、水同位体比アナライザーは海洋の水塊構造解析に使われることもあります。
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▶ 同位体標識実験
 おもに重炭素・重窒素・重水素などで一次生産者を短時間標識して、その後の生産物の行方を追跡するパルス・チェイス法を採用します。N-15を用いた窒素代謝測定や C-13による光分解実験を行うこともあります。標識されたサンプルの測定には安定同位体比質量分析計や GC/MS(化学イオン化装置付き)が使用されます。標識実験試料の処理は、自然安定同位体比分析のための試料処理とは厳密に分離して行う必要があります。
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▶ 環境操作実験
 環境変動に対する生態系の応答・復元力・緩和機能を調べるための環境操作実験を共同研究として推進しています。環境制御実験系の方は、その道のプロである共同研究者の方々に設計・指導していただき、私共は主として生物群集の応答を解析する技術の開発や、自然生態系でのモニタリングと実証研究に力を注いでいます。サンゴの酸性化応答、海草による酸性化緩和効果、食物連鎖に対する酸性化影響などを調べる実験系の構築に取り組んでいます。
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フィールドワーク
▶ 石垣島 (サンゴ礁・海草藻場・マングローブ)
 サンゴ礁複合生態系の栄養塩・有機物動態、代謝計測、大気降下物の影響、共生のメカニズム、食物網構造などをテーマとして、物質循環論・システム生態学的研究を行っています。これまでに東大・茅根研究室、電総研、東工大・灘岡研究室、西海区水研等、多くの機関の方々との共同研究を実施してきました。恒例の柏キャンパス一般公開では、石垣島で採集したホシズナの生態展示を毎年行っています。
 (写真:白保礁池サンゴ礁の名物アオサンゴ)
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▶ 西表島 (サンゴ礁・礁斜面)
 小規模ながらとても美しいサンゴ礁、海草藻場、マングローブがあります。北西部の船浮湾を対象として、特任研究員の Wyatt さんや Scripps 海洋研究所の Leichter 教授が中心となって薄明帯サンゴ礁(mesophotic reef)の生態調査と物理観測を行っています。またマングローブやその土壌の試料採集でも時々利用します。
 (写真:西表島船浮の浜辺)
船浮
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▶ フィリピン (海草藻場・マングローブ・沿岸域一般)
 内湾域の富栄養化問題、気候変動応答・緩和策、陸起源物質負荷、海底地下水湧出、ブルーカーボンなどをテーマとした国際共同研究(JST-JICA SATREPS 事業)を推進しています。カウンターパートはフィリピン大学海洋科学研究所で、日本側では東工大が代表機関となっています。現在は主にパナイ島とブスアンガ島の調査をしています。
 (写真:フィリピン大学ボリナオ臨海実験所の屋根の上から見た風景)
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▶ インドネシア (海草藻場・マングローブ)
 SATREPS プロジェクト BlueCARES の相手国で、マングローブと海草藻場の炭素貯留機能とその保全に関する調査研究を行っています。共同研究者はインドネシア水産海事省の海洋研究センターのスタッフ、日本側では東工大が代表機関となり、北大、東北大、東海大、森林総研等が参加しています。調査許可や試料持出許可の取得が非常に厳格なのが難点です。
 (写真:ジャワ海のカリムン島沿岸の海草藻場)
Karimunjawa 海草藻場
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▶ パラオ (サンゴ礁・海草藻場・部分循環湖)
 複雑に入り組んだ内湾域であるニッコー湾に生息するサンゴ礁の環境とサンゴの環境適応機構を調査しています。部分循環湖に生息するタコクラゲの調査も計画していますが、異常気象のため生息数が激減しています。共同研究者はパラオ国際サンゴ礁センター、日本側は琉球大学、東京工業大学等です。
 (写真:ニッコー湾の湾奥部)
ニッコー湾
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▶ その他のアジア・オセアニア (サンゴ礁・海草藻場・マングローブ)
 JSPS 海外学術調査や JST 受託研究費による沿岸域の生態学的調査をタイ・マレーシア・オーストラリアなどで断続的に続けてきました。タイは北大(以前は千葉大)の仲岡研究室等、マレーシアとオーストラリアは大海研内の共同研究で、主なカウンターパートはカセサート大学、プトラマレーシア大学などです。
 (写真:アンダマン海沿岸クラブリ付近で凧を使って空撮を試みているところ)
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▶ 地中海 (アマモ場)
 瀬戸内海区水産研究所とフランス IFREMER セト研究所の共同事業に参加して、南仏地中海沿岸のトー湖(潟湖)で貧栄養化問題と関連するアマモ場の物質循環と生態系機能の調査を行っています。
 (写真:セトの丘の展望台から遠望するトー湖と地中海)
Thau Lagoon
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▶ 瀬戸内海 (アマモ場・干潟・底質)
 水産庁の事業でアマモ場の生態系機能に関する共同研究を瀬戸内海区水産研究所等の研究グループとともに実施しました。現在は科研費による補助事業として、海草や大型藻類に由来する有機物の動態追跡を目的とした環境 DNA技術の開発を共同で行っています。
 (写真:中津沖での堆積物コア試料採集風景)
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▶ 東京湾 (河口域・干潟・アマモ場)
 東京湾では以前に河口域の研究をしていましたが、現在は特定の研究プロジェクトはありません。新しく開発した調査機材や実験方法を本来の目的地で使う前に試験的に使ってみるような場合に、干潟やアマモ場を時々利用します。
 (写真:富津のアマモ場での堆積物採取器具の動作試験風景)
富津
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▶ 大槌湾 (内湾域・アマモ場)
 大槌赤浜には AORI の国際沿岸海洋研究センターがあります。東日本大震災で大きな被害を受けましたが、この春から新しい研究棟が供用されています。大槌湾一帯はタチアマモという巨大な海草種が見られることで世界的に有名です。私自身は同センターの福田秀樹さんと共に大槌湾のアマモ場の調査をほそぼそと続けています。
 (写真:大槌湾での採泥器を使用した堆積物・底生動物採集風景)
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▶ 厚岸湾とその周辺 (アマモ場・大型海藻)
 自分自身の調査を行うわけではありませんが、臨海実習の際などに北海道大学の厚岸臨海実験所に時々お邪魔しています。ここでは場所によって、オオアマモ、スゲアマモなど、他所ではなかなか見られない珍しい海草種を通常のアマモ、コアマモ、スガモとともに観察することができます。
 (写真:混生海草藻場での公開臨海実習の様子)
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☆ 大気海洋研究所内でお世話になっているスタッフ(2018年度・敬称略)
  • 特任研究員 森本 直子(サンゴと無脊椎動物)
  • 特任研究員 Alexander S. J. Wyatt (薄明帯サンゴ礁)
  • 特任研究員 Raghab Ray (マングローブ)
  • 特任研究員 樋口 富彦(主務は環境動態分野)
  • 技術補佐員 関根 典子(主務は東北マリンサイエンス拠点形成事業)
  • 技術補佐員 出本 紀子(国際沿岸海洋研究センター・白井研究室と兼務)

All Rights Reserved, Copyright 2002-18
Toshihiro Miyajima, Atmosphere and Ocean Research Institute, The University of Tokyo
Last modified: 30 April 2018